日々是書評

書評初心者ですが、宜しくお願いします ^^

【地方再建小説】プラチナタウン - 楡周平

プラチナタウン (祥伝社文庫)

プラチナタウン (祥伝社文庫)

出世街道を外された総合商社部長の山崎鉄郎は、やけ酒を呷り泥酔。気がついた時には厖大な負債を抱えた故郷緑原町の町長を引き受けることに。

だが、就任してわかったことは、想像以上にひどい実情だった。私腹を肥やそうとする町議会のドンや、田舎ゆえの非常識。そんな困難に挫けず鉄郎が採った財政再建の道は、老人向けテーマパークタウンの誘致だったのだが…。

レビュー

主人公は商社で順調にキャリアを積んでいたのだけど、とあるキッカケから退職し、生まれ育った地元の町長となる。 町長として赴任した街は、とんでもない財政難に陥っており、その建て直しのために超巨大介護施設を作ろうとするのがこの物語の核。

ただしこの小説には起伏がない。大きな山もなければ谷も無い。 ただただ順調に物事が進んでいく。

個人的には、地方の複雑な人間関係とか、事業を邪魔しようと躍起になる勢力が描写されるのかなと思ったけど、そういっためんどくさいことはほとんど起こらない。 役場には協力的で有能な同僚がいるし、街には眠っている資産が沢山あり、もともと所属していた商社はすんなりと介護事業に協力する。

500ページもの大作なのに、物語はただただ順調に進んでいく。 だから、ドロドロとしためんどくさいものを期待したいすると拍子抜けするかも…w

あくまでこの小説は「仕事小説」に振り切っており、物語の主眼は財政難に陥った地方自治体とか、商社の仕事の進め方とか、そういった現実的なものの描写に終始する。 読書の醍醐味である、普段知ることのない世界を知ることができたという意味では、十分楽しめたし、財政と福祉の問題について考えさせられた。

星評価

★★★★☆

本日レビューした本

Amazon

プラチナタウン (祥伝社文庫)

プラチナタウン (祥伝社文庫)

プラチナタウン (祥伝社文庫)

プラチナタウン (祥伝社文庫)

楽天ブックス