日々是書評

書評初心者ですが、宜しくお願いします ^^

【書評】地元がヤバい…と思ったら読む 凡人のための地域再生入門 - 木下斉

audiobook.jp の聴き放題に来ていたので聴いてみた。

内容はタイトルの通り。地域再生について。1人称視点の物語仕立てで描かれる。

主人公は、良い大学を出て、東京の良い会社で働いていた男性。実家の用事で地元に帰省した際、ひょんなことから地域再生に関わり始める。

地域再生に関して、主人公はこれまで培ってきた自分の能力が通じないことを実感。挑戦心を掻き立てて、東京の会社を退職。フルタイムで地域再生に関わり始める。

地域再生の内容は本格的。地元のイベントの出店してみたり、法人化してみたり、古民家シェアハウス事業を始めてみたり。具体的な内容が出てくるので、とても勉強になる。

しかしもちろん事業は万事順調というわけではなく…。補助金をちゅーちゅー吸い取るだけのコンサルや、思い通りにいかない相手を排除しようとする行政担当者など、地域再生の苦労もよく描かれている。

面白かった。この分野について全くの素人なので、とても興味深く読んだ。筆者は他にも、地域再生の書籍を出版している模様。新書の方が良い読者にとっては、そちらもオススメになるのかもしれない。

【終活入門エッセイ】父がひとりで死んでいた - 如月サラ

レビュー

勝間和代さんが言及していたので気になって買ってみた。

内容はタイトルの通り。東京で編集者として暮らす筆者が、地元で一人で暮らしていた父の訃報を知り、知人の助けを借りながらも、基本的には孤軍奮闘しながら死後の処理をしていくというもの。

認知症の母の面倒を見たり、父が残した4匹の年老いた猫を引き取ったり、筆者の苦労はとてもよく伝わってきた。

サラッと書いているけど、父が契約していたインターネットのためのルーターを探して業者に返送するとか、地味に大変だと思う。そういうことが連続して、しかも期限を伴って押し寄せてくるので、やっぱり死後の処理って大変だよな…と再認識。

コラムという形で章の間に紹介される実践知識は勉強になった。家族投信、ペットの生涯施設など、初めて知ることがいくつかあった。

ただし全体的に、実務的な面よりも、筆者のエッセイとしての側面が大きい。「50代女性」と聞いて想像する円熟さみたいなものは薄く、正直言うと少し稚拙な雰囲気は感じた。けれど、それがかえってリアルなのかも。両親を想う時、一人の子どもに戻ってしまう、みたいな。

特に終盤では筆者の半生が語られるので、ちょっと面食らってしまう。同じような人生を歩んできた読者にとっては、なおさら本書に引き込まれてしまうとは思うけど。

それでも終活系の本の入門書としては、悪くないではないかと思った。少し、心の準備をさせてもらえる感じ。文章に携わる仕事をしているだけあって読みやすい。タイトル付けも巧すぎる。

あと、この事が起こったのが2020年。出版されたのが2021年ということで、コロナに関する当時の空気感も感じられた。東京から地元に戻ることがあまりにも憚れた当時。この時期に、死後処理をすることが、輪をかけて大変だったことが分かる。

【筆者の取材力の賜物】西成で生きる − 花田庚彦

レビュー

オーディオブックで聴き放題プランに来ていたので聞いてみた。

西成と言うと大阪の一つの地域。世間的な評判として「ヤバい地域」というのはよく聞いていた。

自分自身大阪への旅行で一度訪れたことがあるので、なおさら気になる一冊だった。

内容に関しては章立てが三つから為るのがシンプルでよかった。

まずは仕事について。人夫出しという仕事、パチモンのブランド売り、覚醒剤の売り子など、西成の経済事情の一側面について語られる。

それから医療について。薬の転売が行われているというのはとてもショッキングな内容だった。それから福祉車両については自分自身初めて知る知識だった。

最後に西成の生き字引について一人一人紹介される。詳細は割愛してしまうが、こういう人たちのインタビューに接すると、自分の人生の平凡さと言うか世界の狭さみたいなものを感じざるを得ない。

西成が持つ良いところを知ることができたし、もちろんやっぱりヤバい部分もあった。それを読了後はよりクリアに認識できた気がする。

総括として良書だった。清濁併せ呑むという言葉が似合う一冊。筆者の取材力の賜物だと思う。

【見事に結末に騙される】エンダーのゲーム - オースン・スコット・カード

SF小説の必読本として名高い本書。下巻では、上巻以上の物語の広がりを見せ、どんでん返しで結末を迎える。

上巻ではエンダーは1人の戦士として成長していき、それが物語の主眼だったように思う。 しかし下巻では、エンダーは指揮官となりチームメイトを教育する立場に立つ。

ビーンと言う小柄な新米戦士に対して、エンダーはかつての自分を見いだす。彼を追い詰めるような態度を取ったりするが、最終的には大きな信頼関係を持っていたのが熱かった。

それからいちど地球に戻ってすべてのモチベーションを失ってしまうが、 世界政府のお膳立てによってバレンタインが再度登場し、エンダーに戦うように鼓舞する。なんというか、とても王道のストーリー展開。

それからエンダーは、正式に宇宙艦隊に入隊する。 上巻まででは、ひょっとしたら宇宙戦争やバガーが作り話だった…という展開も予想できたけれど、あくまで王道。バガーを追い詰め、殲滅するというストーリーは継続する。

前回の宇宙戦争で活躍したメイザー・ラッカムが満を持して登場。彼がエンダーの師匠となって手ほどきを行う様も、これまた王道。

そしてエンダーのゲームは結末を迎える。壮大な物語を期待していただけに、少しあっさりと終わった感じもあるが、見事に騙されてしまった。なるほど、エンダーのゲームとは、エンダーにとってゲームだったと言うことなのだと理解した。

面白かった。SFの必読書として数えられるだけの事はある。ただ、三体が出版されてしまったいま、少し霞んでしまう感はどうしてもある。 それでもSF小説を読んでみたい読者にとっては、充分お勧めできる本だと思える。

【時代の空気感を切り取る】コロナの時代の僕ら - パオロ・ジョルダーノ

コロナについて書かれたエッセイと言うことで、気になって買ってみた。筆者はイタリア在住のエッセイストと言うことで、その点も気になってはいた。

エッセイを読み始めてまず感じた事は、コロナが始まってまだ2年しか経っていないと言うのにこれが始まった当初のことがすごく懐かしく思えたことだ。 それだけ、このエッセイはコロナ当初の空気感をよく切り取って表現している。

ただ文章全体がエモいのではなく、筆者の趣味として数学があるからか、文章にはどこか理系的というかロジカルな雰囲気を感じた。

印象に残ったのは、人間の視点ではなくウィルスの視点で世界を見てみること。

人間による自然破壊の結果、ウィルスが自然の中から人間の社会へと漏れ出してしまうこと。 世界人口が増えたことで、これまで食べなかったような動物を食べ始めた結果、温存されていたウィルスを人間側に取り込んでしまうこと。

そもそも現在の地球において人間ほど数が多く活発に移動している動物は他にいない。 ウィルスのキャリアとしてはこれほど適した生物は他にいない、という視点もよく理解できた。

それから、あとがきでの筆者の想いも読み応えがある。この世界的な感染症が終わってしまって、世界が全く元通りに戻っていいのか、と言う疑問の投げかけは僕らがよく考えるべきことだと思う。

コロナ初期の世界の空気感を改めて味わえる点、 ウィルスに関して新しい示唆を得られる点など、意義深さを持つエッセイだった。

【聴く読書ならでは】シルバー川柳 − 全国有料老人ホーム協会

レビュー

audiobook.jp の聴き放題に来ていたので聞いてみたら、意外と面白かった。

内容は言うまでもなく、老人たちによる川柳。収録作品のほとんどは自虐的な、ブラックユーモア。

個人的に一番笑えたのは「お迎えは どこから来るのと 孫が聞く」かなw 特に、渋い声の声優さんが読み上げてくれるのが余計に面白かった。

たまにはこういう本もいいね。実際に買うほどでもないけど。

【不動産営業小説】狭小邸宅 − 新庄耕

レビュー

不動産に関するストーリーが読みたくて、試しに手に取ってみた。

帯には「不動産営業、絶賛の共感!」みたいな文言が。これは期待できるかもしれない…。と思い読み進めたものの、途中までの内容はよくあるビジネスサクセス系のストーリーだった。

主人公はちょっとした学歴を持つ、不動産営業担当。しかし、在籍する企業は大手でもなんでもなく、上司が部下を罵倒したり、(文字通り)蹴りを入れるような環境。

まったく物件を売ることができなかった主人公は、別の支店に左遷となる。伝説の営業担当が上司となるが、「お前は売れない」と単刀直入に言われてしまう。

しかし主人公は、全社的に課題となっていた売れ残り物件に注力。1ヶ月以内に売れなければ辞める…!と覚悟を決める。(これ、絶対に売れる流れじゃん)

案の定、物件は売れる。たまたま物件を探していた高属性の夫婦がやってきて、たまたまお節介な友人も一緒についてきて、主人公が、というよりもその友人が買うように後押ししてくれるという…。

そして伝説の上司が助言をしてくれるようになり、主人公はまた物件を売れるようになるという…。

いやぁ、これ系のお話にありがちなストーリーw

不正融資の話とか、不動産バブルの話とか、そういう社会問題やマクロな話が読めたらもっと面白かったな〜と思ってしまった。事前の期待が大きすぎた。

ただ、終わり方は良かった。

大学時代の同窓会にたまたま参加してしまった主人公。大企業のサラリーマンたちの仕事の愚痴大会。「世田谷の家ってどれくらいで買えるの?」という不躾な質問。「お前らみたいなカスは世田谷の1億の家は買えない」と言い放つ主人公。いやぁ、すっかり業界に染まってしまった。

それから、担当している購入希望者は、条件を下げずに予算は上げない。現実を伝えるも、逆上されて罵倒される。

なんとも後味が悪いのだけど、でもそれが良い。さすが、すばる文学賞を受賞しているだけあって面白かった。

【書評】エンダーのゲーム(上)- オースン・スコット・カード

エンダーのゲームといえば「SFの必読書」として名高い。SF小説好きとしては、いつか読みたいと思っていた本書。ワクワクした気持ちを持ちながら、ようやく手に取ることができた。

世界観としては、王道のSF。かつて宇宙人たちが地球に侵攻してきた。圧倒的な力で蹂躙されたものの、なんとか地球側の勝利で終わった。それから数十年後。現代の地球人たちは、再びの侵攻に備えて軍備を整えていた…と言った世界観。

そんなマクロな世界観に対して、ストーリーは意外とミクロ的。エンダーという主人公が、宇宙軍の指揮官候補として登用される。かれはまだおよそ10歳(?!)にして、入隊。新人時代を経て、部隊に配属され、メキメキと頭角を現していく、という割りと狭い世界が上巻のお話。

エンダーを始めとした、少年少女の戦士たちは、選りすぐりの人材。単なる子どもではなく、大人たちが慎重に、計画的に選別した結果であることが序盤から説明される。それゆえに、10歳とは思えないような思考力・問題解決力・成長力を見せてくる。それが現実的には見えず、違和感を持つ読者もいるかも知れない。

一方で、そんな子どもたちを観察する、大人の視点も少し描かれる。「本当にエンダーは選ばれし子なのか…?」みたいな話し合いの場面。エンダーの視点と交互に描かれるので、それは物語に厚みをもたせたと思う。

とは言え、上巻はアッサリと終わった印象。肝心の敵対宇宙人は登場せず、精神描写も多いため、期待していた宇宙ドンパチなシーンはほぼ無く。これから宇宙戦争が始まる…?! という緊張感はあまり感じなかった。それは下巻の話かな…?

ちなみに、翻訳的な部分で言うと、読みにくさは無かったと思う。ただ、旧訳版のレビューを見ると、そこの評価は高くない印象。なので今から読むなら、新訳版がオススメになりそう。

ただ、罵倒語がたくさん出てくるのだけど、それらはよく理解できなかった…w 「この屁食い野郎!」みたいな。なにそれ?? と意味が分からずにポカーンとしてしまうことがあった。

【書評】目の見えない人は世界をどう見ているのか - 伊藤亜紗

少し面白かった、と思う。

例えば、道の話。目が見える人々は、ただ決められた順路に従って歩く。それはベルトコンベアのようで二次元的。一方で、目の見えない人は、方向や空間の広がりを想像する。目が見えずに得られる情報が少ないからこそ、世界を3次元的に見ている。という話。

なるほど!と思う話が次々に登場する。

他には、

・目の見えない人の内、点字が読めるのは1割程度(少し古いデータ? ・ など、知らない話がいくつかあった。

ただ、筆者の見方が好意的すぎるというか、彼らの実際の苦悩や、生活上の不便さというのは、そこまでシリアスに描かれることはない。

目が見えないからこそ、情報に振り回されないんですね〜!面白い!みたいな。学者である筆者の、とても学者らしい世界観。

このタイトルと表紙絵からは、目の見えない人側が主体の話かと思いきや、筆者による実録レポートというテイストが強い。あと、筆者の学問遍歴みたいな前置きが長かった。

まぁ、エッセイと思って読めば悪くないかも。

読者が事前に何を期待するかによって、評価が分かれそうな1冊。

【和食を初期化する】一汁一菜でよいという提案 - 土井善晴

レビュー

以前「くらしのための料理学」を読んで、土井善晴さんに興味を持った。

というか、思いっきり影響を受けているw お盆を買ってみたり、布巾でサッとテーブルを「清め」たり。

ぜひ別の書籍も読んでみたいと思い、本書を手にとって見た。

なるほど、良かった。相変わらず文章が読みやすく、飾り気が多すぎず、それでもキラリと光る。くらしのための料理学と重なる部分はあるけれど、味噌の話や過去の日本の話など、面白く読んだ。

随所に散りばめられた手書き文字や、料理の写真も良い。ざっくりとした味噌汁なのに、土井さんの調理だと良いものに見えてしまう…w

決して豪華な食事を毎日作るのではなく、ささやかで良いから気持ちを込めて一汁一菜を心がけていきたい。そうして自分の生活というものに真剣に向き合っていきたいという気持ちを新たにした。

引用・抜粋

今なぜ一汁一菜か

一汁一菜とかただの和食献立のすすめではなく、システムであり美学であり思想であり、そして日本人の生き方。

ご飯(白米)の素晴らしいところは、飽きないところ。人工的な味の濃いものは、すぐに他の味が食べたくなる。

味噌や漬物は、微生物の作品。人間の業ではない。壺の中に微生物の世界があり、その自然らしさが人間と調和する。

食事は風土と結びつきをもつ。土産土法。季節が移ろうこの国において、衣食住は全てその変化に対応するよう進化してきた。

暮らしの寸法

肉やトロの脂身による美味しさは、舌先に触れた瞬間に脳が美味しいと感じる。一汁一菜の料理は、食べ終わった後にじんわりと美味しさを感じるような、身体全体で感じる美味しさ。

シンプルな食事がストレスを減らし、余暇のための時間を生む。

食材を組み合わせたり、濃い味付けをするのは、西洋的で、本来日本的ではない。シンプルに食材の良さを活かす。

ハレの食事は神様への料理。それを人間がともにいただく。神人共食。そこには時短や手抜きはない。時短おせちなんてものはない。

テレビの影響で、現代人はハレの価値観をケに持ち込んでいる。

毎日の食事

一汁一菜の生活ではおかずは不要。味噌汁の方に野菜や肉や魚などの具材を少し多く入れることでおかずの代わりになる。

美味しい炊飯の仕方について。洗米した時に水切りをちゃんとする。それから給水させて洗い米とする。炊飯は炊飯器のいわゆる早炊きモードを利用する。

お湯に塩を入れると塩汁とはならないが、味噌をお湯に入れると味噌汁となる。味噌だけは日本人にとって特別な調味料。

味噌汁には様々な具材を投入するので、美味しい時と美味しくない時があるが、それはどちらでもいいことにそのうち気づく。

味噌汁の温度に関して。具の少ない味噌汁は煮たばかりの熱い時が、一番味噌の風味をよく味わえて美味しい。一度熱してしまえば2回目以降は、そんなに温めなくても美味しい。

少し味噌汁の見た目を気にするなら、具材を少なめにして汁を多くすると良い。

どみその中では塩分やその他の環境的条件から食中毒を引き落とすことする際にはほとんど生きられず死滅する。みその中では健康に良い乳酸菌などしか生きられず食中毒などの報告では一件もない

土井さんは毎食味噌汁を飲んでいる。ご飯の代わりにトーストを食べることもあるが味噌汁は必ずつけている。洋食やイタリアンや中華といった区切りにこだわり過ぎない。家にあるものを食べるという考え方。

作る人と食べる人

高級料亭、チェーン店、コンビニと行くにしたがって作る人と食べる人の関係は希薄していく。

家庭料理とは毎日の営みで命を育む行為。

暖かくなったらたくあんの切り方を変えて歯ごたえをよくするといった小さな工夫でも良い。

人間は自分以外の人のために何かをすることこそが本質であり、その与えがまた新たな与えを生みやがてそれは自らのもとに戻ってくる。

おいしさの原点

和食がユネスコ無形文化遺産に登録された背景には自然を尊ぶということがある。

旬を「はしりもの」「さかりもの」「なごりもの」の三つに分けて、交差する生命の始まりと終わりを五感で感じて意識する。

和食が重視するのは美味しさだけではない。時には食材の不要な部位を捨てるし、煮つめて美味しい部分を逃すこともある。それは澄むことを大事にしている。味覚だけを重視せず、見た目を良くすることで視覚的に補うことも。和食は五感で感じるもの。

和食を初期化する

土井善晴先生の父親も料理研究家

昔の日本人は豆腐屋さんで豆腐を買っていた。豆腐はきれいな水の中で浸されており真四角に切られていた。この真四角という形状が良く、丸いお皿にのせてもよし切ってもまだ真四角という美しさがあった。角が欠けてしまった豆腐は半額どころか目がつかず売り物にならないレベルだった。

敗戦後は体格が小さかった日本人が何とかアメリカ人に追いつこうとしてパンやミルクを食べ飲んだ。米を食べたらバカになると言われるほどだった。しかし実際にはパンヤミルクは米軍の残り物だったり貿易戦略の結果でもあった。

本来日本人は何でも白米と一緒に食べていたが、近年ハンバーグなどのメインディッシュを料理の中に含めることで、他のおかずなどにもお肉を入れないとバランスが取れなくなってしまい、結果として脂質や油が過剰になってしまっている。

一汁一菜から始まる楽しみ

毎日見て触る食器だから良いものを使う。食器は民芸館などで買うと良い。決して焦らずに良いお皿と巡り会うタイミングを待つのも大事。いいお皿を見る目はだんだんと磨かれて行く。

茶道では亭主のおもてなしの趣向や意図を何も告げないのに客自身が察してくれることを亭主の最上の喜びとしています。そのことを亭主と客が互いにもてなし合う心を賓主互換という。

お膳を使うことで食事の空間の外と内を分けることができる。お膳は一汁一菜の舞台。洗う必要はなくて布巾でサッと拭けばいいし、拭けば拭くほど味が出てくる。

酒はハレの日のもの。季節の肴をつけることで一汁二菜になるし、果物をつければ一汁三菜となる。

【学び直しの入門書】自分ごとの政治学 - 中島岳志

「時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか?」で紹介されていたので読んでみた。

ページ数は少なく、文章もシンプル。小学生でも読めるのではないかと思う。内容は非常に初歩的ながら、社会人でも学べる部分はあると思う。

リベラルとは、保守とは、政治にまつわる用語を筆者の視点を交えて解説していく。

それから、あまり知られていないガンジーの生涯について書く。若い頃の奔放なエピソードは知らなかったので、面白く読んだ。

民主とは、現在を生きる人間が主語。法律は一定の賛成のもとに変更可能。立憲とは過去の死者が主語。過半数がイエスと言っても、憲法は簡単には変えられない。そこには、先人の経験と失敗に起因する経験知が含まれる。

死者の眼差しを議会に呼び込むのが立憲民主主義だが、最近は軽視される傾向。

面白かった。いわゆる学び直しの、その入門書として最適な一冊。

巻末には、分野ごとの次に読むべき本のリストが掲載されており、初心者にとって非常に親切。

以下、引用・抜粋。

左、右とは所詮相対的な味方。また、その起源について。議場の座席。

プラトンイデア概念は、人間には到達不能なもの。しかし、探究を諦めてはいけないし、探究する者を哲人と呼んだ。政治とは、哲人によって為されるべきもの。大衆による民主主義は衆愚へ向かう、とも。

デカルト懐疑主義。今自分がいることは確証がない。夢の可能性がある。しかし、疑うことそのものは疑えない。我思うゆえに我あり。ここから、近代の合理主義が生まれていった。

王権神授説ではなく、理性をベースとするなら、国民すべてに権利がある、との考えでフランス革命が起こり、国民国家が生まれた。

左派は理性的な考えを重ねることで、社会をよくしようとする。その1派が社会主義。すっかり衰退傾向に。もう1派が社会民主主義。話し合いによって、国家を主体とした徴税と分配を目指す。また、過激になるとアナーキズムへと。

右派について。右翼とは原理主義。過去のある時点に戻ることで、理想社会の実現を目指す。拠り所が、アッラーだとか天皇の御御心ということになる。保守の原点は、人間の理性が完璧ではないと思うところにある。過去の蓄積を利用し、永遠の微調整を行うことで改善を試みる。

保守vsリベラルと言った対立軸で語られるものではない。

筆者の考えでは、右・左というより、お金と価値というベクトルで考える。

【わがまま老人エッセイ】九十歳。何がめでたい - 佐藤愛子

レビュー

オーディオブックで無料公開されていたので、試しに読んでみた。

この書籍は書店で見かけたことがあり、90歳の人の描く文章かぁ、面白そうだなぁとは思っていた。

しかし表紙のほんわかとしたイラストとは裏腹に、エッセイの中のおばあちゃんはぶち切れまくっている。

「90歳おめでとうございます!次は100歳を目指してください」と言われても、「何がめでたいんだ!」と筆者はブチ切れてしまう。まさしくタイトルの通り。

最初はそれを新鮮に感じて面白く聞いていたんだけれど、どうしても理不尽な怒りみたいなものを感じてしまって途中からしんどくなってきた。

スマホが発達せずしすぎているとか新幹線が速くなりすぎているとか、そういう苦言を呈するのだけど、 テクノロジーの進歩に冷水を浴びせるような物言いに、自分はすごく苦手なものを感じた。

人生を90年生きたからといって、必ずしも深く円熟した良識みたいなものは育まれないんだなぁと、とても残念な気持ちになった。

【書評】なぜ一流の男の腹は出ていないのか? - 小林一行

レビュー

腹が出ているかどうかと言う、 一点突破型の切り口はわかりやすくシンプルで面白かった。

ページ数が少なくてすぐに読めてしまう。 エピソード風の語り口なので、文章が難しいところが全くない。

それでいて明日から使えるような日々のテクニックが紹介されており、少なからず実用的な本だった。

以下、抜粋。

  • 運動で燃焼する前に、消化系を運動させておく
  • 食事制限は思考力を奪う
  • 短期間の体重増減は、脂肪が増えたわけではない
  • 血糖値をコントロールできれば、空腹感をコントロールできる
  • 炭水化物でも、GI値が低ければまだ良い
  • 白米より玄米、小麦粉より全粒粉のほうが、GI値が低い
  • 食物繊維を最初に食べることで、脂肪がつきにくくなる
  • 最初に味噌汁を飲み干すだけで、満腹感が早くて訪れる
  • ビールなどよりは蒸留酒などのほうがGI値が低い
  • 酒ではなくツマミで太る
  • とは言え、居酒屋でも注文の順序を工夫できる
  • ゆっくり食べることで、血糖値の上昇スピードを緩める
  • 食べ始めてから10,20分後に満腹感が来るので、枝豆などで時間稼ぎしておくと良い
  • 男性にとってダイエットは痩せるためではなく痩せるための体作りといった認識をすると良い

【大家業とはサービス業】あなたのアパート・マンションを即満室にする方法 - 浦田健

レビュー

楽待相談室でとある回答者の方がおすすめ書籍として提示していたので、気になって買ってみた。

15年くらい前の書籍で少し不安があったものの、読み進める。

思えば、空室対策に特化した本を読むのはこれが初めてだった。

成功率100%!と、強気な書き出しにはたじろいだものの、内容はよかった。

大家業はサービス業、と言い切っているところがよかった。買って終わりじゃない。入居して終わりじゃない。入居者にとって何が良いかを考えること。それが大家業なのだと、気を引き締め直す想い。

自分自身学びがあったし、初心者の方にもおすすめできる1冊だった。

本書の末尾にやるべきことのチェックリストあり。

引用・抜粋

序章 ショック!アパートを買った途端、12世帯が退去

家賃の下落や金利の上昇リスクによって賃貸経営は徐々に圧迫されていく。空室対策をしなければ空室状況も徐々に悪化していく。

なぜ空室が埋まらないのかと言うと、内見者が少ないからか、内見はあるが成約率が低いから。

内定者が少ない理由。不動産業者は手数料の取れそうにない物件、つまり魅力的ではない物件は後回しにしてしまう。あるいは敷金礼金ゼロのような入居者負担が少なくすぐに埋まりそうな物件は優先度が高い。

あるいは単純に物件の入居希望者への露出が少なすぎる場合もある。現代は入居希望者の98%はインターネットで物件を探す。コンビニに置かれた賃貸物件雑誌や駅前の賃貸物件情報なども侮れない。

また意外なポイントとしては物件を探しに来た入居希望者に対して、不動産屋がこんな物件もありますよと紹介するパターンもある。

内見後の成約率に関して。成約する確率は2割程度。不動産業者からは家賃を下げてくださいなどと打診が来るが、家賃を下げるのは内見者が5人やってきて成立しなかった時に初めて考えること。

成約する確率は中古で2割、新築で3割が相場。筆者のメソッドを利用すれば中古で3割、新築で4割を達成できる。

入居希望者に価値を提供できれば家賃を上げることは十分に可能。

満室経営のモチベーションの維持方法として、満室時の自分へのご褒美を考えておく。それは普段手が出ないような、ちょっといいものであると良い。

第1章 内見者を増やせ!究極の入居募集術

まず内見者の数を増やす。家賃設定が妥当かどうか間取りが古いかどうかはその後に考える。

内見者の数を増やすには広告を打つ。その際不動産屋任せの広告作成ではなく自分で目立つ広告を作成する。一般的に情報量は多ければ多い方がよい。不動産業者も暇ではないので、広告作成はオーダーメイドではなく、ソフトを使って似たようなものを量産するような形になる。

以下広告作成の9個のポイント。

チラシ専門業者にカラーで製作依頼をする。3万円ぐらいかかるが集客力が上がる。

建物写真を入れる。写真撮影のポイントは28 mm 以上の広角で撮影できるデジカメを使うこと。そして建物は見きれずに全体を写すこと。

一言デブ系の特徴がわかるキャッチコピーをつけること。見てる人の認知不協和を起こすような、つまり考えさせるようなキャッチコピーだと良い。

ハンデを感じさせない間取り。間取り図を長めにするなど工夫して奥行きを見せたり設備をアピールしてハンデを薄める。

この物件に住むことで得られるメリットを列挙する。

ビジュアルでわかる周辺マップ。単なる周辺施設の網羅ではなく、観光レベルでワクワクするような地図を記載する。

分かりやすく高いと感じさせない料金体系。筆者は家賃を3割高くしている。しかし敷金礼金ゼロにしてインパクトを高めたり、家賃は安くするが共益費を高くしたりしてトータルでの収入を上げたりしている。

家賃値引きコースの設定。顧客が迷ったら購入まであと一歩。本日決めてくれたら家賃を3000円引きなどすると効果抜群。内見者が来たら、その旨を不動産業者に伝えておく。

次に、募集チラシを仕掛けるターゲットについて。

1つの戦術のうち最も重要なのが人海戦術。その物件の属する地域の不動産屋は全て回る。最寄り駅の周辺の不動産業者は全て訪問するし前後さん役また必ず複数路線が集まるターミナル駅は押さえておく。不動産業者が訪問して宅に対して複数の物件を提示するのでそこのリストに割り込ませることが大事。

とその後良さそうな業者2週に1回程度の頻度で訪問し後は週に数回電話で状況を確認しながらフォローしていく。経験則では実際に内見者を紹介してくれる熱心な業者は2割。この2割の業者と関係を強めていく。

80対20の法則。利益を生み出してくれる2割のために自分の8割の力を使う。

内見者が多くなるのは週末なので金曜日に訪問したり電話するのが効果的。また週明けの月曜日に状態を確認するのが良い。

不動産業者は向こうから電話をしてこない。契約が成立した時だけ。熱心に電話をかけてくれるのは2割程度。なのでこちらから積極的に確認の電話をしていく。その際成立しなかったことを絶対に責めてはいけない。

客付けは一般募集と専任媒介のどちらを利用するかメリットとデメリットをよく考えておく。

物件情報をインターネットに掲載するべし。ポータルサイトはもちろんのことを独自の賃貸情報サイトを立ち上げたり地域の情報サイトを立ち上げることも有効。

物件現地にチラシを設置しておくことも大事。清掃の度に補充する。

アナログの賃貸情報を教えの掲載効果も馬鹿にならない。無料よりも有料のものの方が多くの人の目にとまる。また掲載する際は他社が紹介しても良いという星印をつけてもらうと良い。

物件の紹介依頼をした時に業者から提案される間違った意見や古い習慣は無視して良い。

物件の価値を上げるのが空室対策の第一歩。

敷金は原状回復の費用にできない、と国土交通省のルールで決まっている。

修繕やバリューアップのために、家賃の値上げは必要。

修繕ポイントは、退去の都度、ちょこちょこ直すこと。

筆者のおすすめは、新築同然にまで直すこと。ただし、床の張替えはワンルームで6,7万円かかる。上から貼るタイプだと安上がり、と言った工夫が必要。

リフォーム完了前は、入居者に見せてはいけない。リフォーム前に内見する場合、クロスを選ばせてあげる、など。(あなた好みの部屋作戦

色にこだわりを持つ。純白は脳に負荷を与えてしまうので、少しイエローがかったアイボリーなとがオススメ。また、ブルーベースとイエローベースを使い分けて、温度の印象をコントロール可能。

内装リフォームにかけられる費用の限度額は、家賃の6ヶ月分まで

外装リフォームの目安は、家賃二ヶ月分×戸数。

物件が永遠に輝く7つの方法 1、クリンネス&フレンドリー 週に一度は自分で清掃する。すると、物件の改善点が見える。また、内見者に出くわすこともあり、アピール&面談代わりとなる。

2、ゴミ周りの衛生監理 不当なゴミ出しは早期発見、早期対処

3、挨拶

4、除草、4月〜9月は雑草シーズン 躊躇なく除草剤を利用する 顆粒よりも液体が効果高い 効果は2ヶ月継続 また、防草シートもオススメ その上から玉砂利を敷けば見た目もよくなる

5、花を飾る 春夏は乾燥に強いポーチュラカ、秋冬はパンジーがオススメ

清掃管理費用が安くなるシルバー人材の活用について。人材のアタリハズレはある。仕事の内容を細かく指示する必要がある。仕事の完了をチェックしなければならない。ただ、清掃管理のチェックリストを使って掲示板に貼り出しておけば、住人へのアピールにもなる。

第3章 老朽アパートでも家賃アップできる7つの秘策

上記で書いたクリーンネスなどの他にも家賃をアップする秘策はいくつかある。

一つ目が家具家電付きにすること。新社会人には学生や外国人に喜ばれ短期の入居が可能になる。

具体的には電子レンジ、冷蔵庫、テレビ、洗濯機、テレビ、ラック、ミニテーブル、エアコン、カーテン、照明器具をつける。トータルでは10万円ぐらいなので、2年も住んでもらえれば初期投資がペイする。空室が2ヶ月発生するぐらいなら、家具家電を揃えた方が良い。

水道光熱費のコミコミプランも一つの手。ただしもちろんその分は家賃に含めておく。一人暮らしの場合水道光熱費は平均7000円ぐらいなので、1万円ぐらいを上乗せすれば大体黒字になる。

敷金礼金といった初期費用をゼロにすることで集客のアピールになる。こちらも家賃に上乗せしておく。目安としては1人暮らしの平均入居期間が2年であることを考慮する。また原状回復費用としてクリーニング代3万円を契約時にもらっておくと安心。

家賃保証会社を利用する。連帯保証人のいない入居者にとっても嬉しい制度。有名どころはリプラス SBI ギャランティ日本賃貸保証日本セーフティ全保連の5社。

第4章 これで即入居!究極のクロージング術

入居希望者の期待値を下げないことと、実際に見たときの期待値を上回ることが大事。

入居希望者の物件見学には可能な限り立ち会って、魅力を120%伝える

しかし実際には入居立ち会いを毎回行うのは不可能なので、営業担当に魅力を知ってもらう必要がある。

以下、13のクロージングテクニック

  1. エントランスで第1サプライズを与える エントランスはピカピカに チラシが散乱しがちなので、チラシ専用のゴミ箱がおすすめ

  2. 鍵は現地に備えておき、内見に即対応 錠前ロックのような仕組みを利用し、暗証番号がわかれば内見可能にしておく

  3. 空気を常時循環させて、封水切れに注意する ブレーカーをONにして換気扇を常時回す 内見のたびに営業担当に水を流してもらうか、数日ごとに自分で水を流しに行く、あるいはラップをしてしまうという手も

  4. トイレ・玄関に清掃済み表示でクリーンさをアピール

  5. トイレと居室に芳香剤で爽やかな香り付けを

  6. スリッパは必ず常備させる ただし、業者には内見後にスリッパを揃えておくように伝えておく 揃えてくれないならスリッパ置きなどを用意

  7. 欠点が長所に変わるリフレームポップ作成法 あまり売り込みをし過ぎると、客がうっとうしく思って成約率が下がってしまう。 営業担当からの説明は必要最低限に留めておき、客に聞かれたことに答えるように終始すると良い。

  8. アメで滞在時間を引き延ばせ

  9. ウェルカムバスケットでささやかな心配りをアピール

  10. 観光マップ式チラシで周辺環境をアピール

  11. 巻き尺、図面、筆記用具を備えておく

  12. 入居のしおりを作成して、お客の疑問に即答する

  13. オーナーからの手紙で背中を押す

第5章 いったん入居したお客を逃さない「アリ地獄経営」のススメ

多くの大家にとって退去は怖いが、満室になると何もしなくなる。

大家業はサービス業。ホテルのようにサービスを尽くして、入居者に気に入ってもらう。

筆者は近所の銭湯をPRし、さらに引っ越し疲れを労うために、銭湯の回数券を購入しておき、プレゼントした。

クレームは最初からクレームなのではなく、最初は要望。早期対応する。

滞納入居者は事前に察知して弾く。直接対面してフィーリングを探る。滞納常習者でないか見抜く。

定期借家契約はリスクヘッジになる。契約期間を364日以内にすれば、大家からの事前告知をしなくてよい。外国人などリスクのある入居者には有効。契約期間を3ヶ月、6ヶ月…と伸ばしていく信用積立方式がよい。

滞納の督促はスケジュールに沿って機械的に。

督促スケジュール

翌日:うっかり忘れもあるので、あくまでソフトに

三日目:速やかにお振込みください、と滞納を意識させる。これでも滞納が続くのなら確信犯の可能性が高い

7日目:ここまでに連絡がつけば、90%の確率で家賃は回収できる

十日目:連帯保証人に連絡し、味方になってもらい、入居者に活を入れてもらう。連帯保証人から連絡が入れば、高確率で家賃回収が可能

14日目:貼り紙

普段はサービスが良いが、滞納するとうるさい大家と認識されることが大事

滞納翌月に2ヶ月分払ってもらうのではなく、翌月以降に一万円ずつ上乗せし、数ヶ月で滞納分を回収する、と言った提案もあり。

【親近感系 王道自己啓発】夢をかなえるゾウ1 - 水野敬也

レビュー

自己啓発系のベストセラーとして有名な本書。audiobook.jp の聴き放題プランにあったので、試しに聞いてみた。

内容としては割とありきたりというか、典型的なストーリー展開だったと思う。 特に個性は無いけれど上昇志向のある若い男性のもとに、 突然インドの神様であるガネーシャがやってきて、人生に成功する方法を教えてくれると言う物語。

ありきたりな内容なのだけど、主人公とガネーシャが仲良くなってからのほんわか展開には、少し口元が緩んでしまうというか読んでいて心地よかった。 内容がないわけではなくて、きちんと具体的なアドバイスが列挙されるので、どんな読者でも何かしら学びうるところがあるのかなと思った。

なるほど確かにベストセラーの風格というか、万人向きで、自己啓発デビューにも安心してお勧めできるクオリティーがあった。

余談だけど、聴く読書としてはガネーシャの声優さんがなかなかハマり役で、とても良かった。