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【見事に結末に騙される】エンダーのゲーム - オースン・スコット・カード

SF小説の必読本として名高い本書。下巻では、上巻以上の物語の広がりを見せ、どんでん返しで結末を迎える。

上巻ではエンダーは1人の戦士として成長していき、それが物語の主眼だったように思う。 しかし下巻では、エンダーは指揮官となりチームメイトを教育する立場に立つ。

ビーンと言う小柄な新米戦士に対して、エンダーはかつての自分を見いだす。彼を追い詰めるような態度を取ったりするが、最終的には大きな信頼関係を持っていたのが熱かった。

それからいちど地球に戻ってすべてのモチベーションを失ってしまうが、 世界政府のお膳立てによってバレンタインが再度登場し、エンダーに戦うように鼓舞する。なんというか、とても王道のストーリー展開。

それからエンダーは、正式に宇宙艦隊に入隊する。 上巻まででは、ひょっとしたら宇宙戦争やバガーが作り話だった…という展開も予想できたけれど、あくまで王道。バガーを追い詰め、殲滅するというストーリーは継続する。

前回の宇宙戦争で活躍したメイザー・ラッカムが満を持して登場。彼がエンダーの師匠となって手ほどきを行う様も、これまた王道。

そしてエンダーのゲームは結末を迎える。壮大な物語を期待していただけに、少しあっさりと終わった感じもあるが、見事に騙されてしまった。なるほど、エンダーのゲームとは、エンダーにとってゲームだったと言うことなのだと理解した。

面白かった。SFの必読書として数えられるだけの事はある。ただ、三体が出版されてしまったいま、少し霞んでしまう感はどうしてもある。 それでもSF小説を読んでみたい読者にとっては、充分お勧めできる本だと思える。