日々是書評

書評初心者ですが、宜しくお願いします ^^

戦後小説

【大衆的価値観の脆さ】23分間の奇跡 - ジェームズ・クラベル

物語の舞台は、敗戦国の小学校。その教室に戦勝国側の教師がやってくる。彼女は生徒たちに新しい世界を教えて、価値観をあっさりと裏返してしまう。教室に掲げられた旗に関して、生徒たちがビリビリと破くシーンはとても印象的。 文章はとても平易で、分量は…

【感染症人類滅亡SF】復活の日 - 小松左京

復活の日posted with ヨメレバ小松 左京 KADOKAWA 2018年08月24日頃 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle レビュー 2020年、コロナウイルスが世界を席巻した。そこで話題になったのがウイルスの流行を題材とする本作。 脅威の死亡率を持つ謎のウイルスが世界に…

【金解禁を主軸とした戦後の政局を描く】男子の本懐 - 城山三郎

男子の本懐(新潮文庫)作者:城山三郎発売日: 2013/04/01メディア: Kindle版 レビュー 戦後日本における金解禁のドラマを描いた小説。中心となる人物は2人。浜口雄幸と井上準之助。彼らは性格こそ正反対だったものの、魂から通じ合い、戦後の日本経済に大き…

【晩年の郷愁と後悔】日の名残り - カズオ・イシグロ

日の名残りposted with ヨメレバカズオ・イシグロ/土屋政雄 早川書房 2001年05月31日 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle 総評 端的に言えば「かつての同僚に会いに小旅行をする」という、それだけの物語なのだけど、その進行は非常にゆるやか。文量の大半は…

【芸術にかける使命のバトン】美しき愚かものたちのタブロー - 原田マハ

レビュー 美術館を作りたいと夢を語った松方。 そしてその夢にほだされた田代。 だけどそのためには、フランス政府に没収されたコレクションの返還が不可欠だった。 戦後の不利な日仏関係のもとでの返還交渉、これは間違いなく熱いストーリーになる。 …と思…

【本屋大賞/直木賞 候補】ベルリンは晴れているか - 深緑野分

ベルリンは晴れているか (単行本)作者: 深緑野分出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2018/09/26メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る 総統の自死、戦勝国による侵略、敗戦。何もかもが傷ついた街で少女と泥棒は何を見るのか。 1945年7月。ナチ…

【戦後沖縄の感動実話】太陽の棘 - 原田マハ

レビュー 原田マハを読むのはこれで7冊目になる。 アートをテーマにしているということは、楽園のカンヴァスや暗幕のゲルニカのようなテイストなのかなと予想しながら読んだ。 中盤までは、星3つな気分で読んだ。面白いのだけど、上述の名作に比べると普通…

【直木賞・沖縄】宝島 - 真藤順丈

宝島posted with ヨメレバ真藤 順丈 講談社 2018年06月21日 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle 英雄を失った島に、新たな魂が立ち上がる。固い絆で結ばれた三人の幼馴染み、グスク、レイ、ヤマコ。生きるとは走ること、抗うこと、そして想い続けることだった…