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【国内本格ミステリSF】果しなき流れの果に - 小松左京

新装版 果しなき流れの果に (ハルキ文庫)

新装版 果しなき流れの果に (ハルキ文庫)

N大学理論物理研究所助手の野々村は、ある日、研究所の大泉教授とその友人・番匠谷教授から一つの砂時計を見せられる。

それは永遠に砂の落ち続ける砂時計だった!白堊紀の地層から出土されたというその砂時計の謎を解明すべく発掘現場へと向かう一行だったが、彼らは知る由もなかった―その背後で十億年もの時空を超えた壮大な戦いが展開されていようとは。

「宇宙」とは、「時の流れ」とは何かを問うSFの傑作。

レビュー

まず恐竜同士のバトルが序章というのが、いきなりユニーク!w

それから、現代パートではとあるミステリー要素が登場し、読者の好奇心をグッと鷲づかみにしてしまう。砂時計とか古墳っていうアイテムのチョイスがいちいち良い。

そしてその好奇心が爛々と燃えたまま、SF的な世界は深化していく。時間移動や派閥争いといった良質なミステリーSFが展開されて、時間を忘れて物語に没頭してしまった。

ラストの疾走感がまた凄い。疾走感だけじゃない。主人公が世界の真相にたどり着く、文字通りのグングン上昇していく感じがたまらない! そして弾けるように現実へと描写が戻り、伏線を回収しながら幕引きとなる。この牧歌的に慎ましい締め方がまた愛おしい…。

こんな面白い国内SF小説を読み逃していたなんて…!今更だけど、読めてよかった。文句なしの名作。国内SFの必読書だ。

星評価

★★★★★

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