日々是書評

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【直木賞・沖縄】宝島 - 真藤順丈

英雄を失った島に、新たな魂が立ち上がる。固い絆で結ばれた三人の幼馴染み、グスク、レイ、ヤマコ。生きるとは走ること、抗うこと、そして想い続けることだった。少年少女は警官になり、教師になり、テロリストになり―同じ夢に向かった。

超弩級の才能が放つ、青春と革命の一大叙事詩!!

レビュー

日本でもアメリカでも無かった頃の沖縄。もう二度と訪れることのない、訪れてはいけない、生きることに全力を注がなければいけなかった時代。 それを全身に浴びたような読書体験。さながら当時の沖縄の熱風が頬に吹き付けてくるようだった。

さすがの直木賞受賞作。舞台の練度の高さに圧倒された。 死生観のぶっ壊れる絶望を描いたと思えば、人知を超えた大自然の偉大さまで描いてしまう。紛れもない超大作。

終盤にかけての血が滾るような疾走感は、未来に、つまり現代にバトンを渡すようなグランドフィナーレとして収束する。

沖縄が辿ってきた歴史や、その過程で不可避的に獲得された度量の広さを鑑みた時、読者は「宝島」というタイトルがいかに秀逸であるか気が付かされる。

星評価

★★★★★

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