日々是書評

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【怪奇小説】箱男 - 安部公房

箱男 (新潮文庫)

箱男 (新潮文庫)

ダンボール箱を頭からすっぽりとかぶり、都市を彷徨する箱男は、覗き窓から何を見つめるのだろう。

一切の帰属を捨て去り、存在証明を放棄することで彼が求め、そして得たものは? 贋箱男との錯綜した関係、看護婦との絶望的な愛。輝かしいイメージの連鎖と目まぐるしく転換する場面(シーン)。

読者を幻惑する幾つものトリックを仕掛けながら記述されてゆく、実験的精神溢れる書下ろし長編。

レビュー

あの安部公房に初挑戦。 文体は危惧していたほど読みにくくなく、レトリックは奇抜で面白く、そしてストーリー展開は難解だったw

箱男とはいったい何なのか。 社会から隔絶された存在とか、現代の病理とか、分かりやすい解釈は思いつく。

そして、どの章が誰の視点だったのかという謎解き的な要素もある。

でも、色々ひっくるめて、安部公房はそこまで深く考えていなかったのかも知れないという結論に至った。 単純に、読者を翻弄して楽しませることに終始していた、ストーリーテラーだったのかもしれない。

是非、他の本も読んでみたい。

星評価

★★★★☆

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