日々是書評

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【泣けるSF】アルジャーノンに花束を - ダニエル・キイス

32歳になっても幼児の知能しかないパン屋の店員チャーリイ・ゴードン。

そんな彼に、夢のような話が舞いこんだ。大学の偉い先生が頭をよくしてくれるというのだ。 この申し出にとびついた彼は、白ネズミのアルジャーノンを競争相手に、連日検査を受けることに。

やがて手術により、チャーリイは天才に変貌したが…超知能を手に入れた青年の愛と憎しみ、喜びと孤独を通して人間の心の真実に迫り、全世界が涙した現代の聖書(バイブル)。

レビュー

言わずと知れたSFの必読書。

知ってしまうことの残酷さはあるのだけど、自分は知らないよりも知っていたい。 だから手術を受けるというチャーリーの選択には全力で同意した。

知性の獲得が、より高度な愛の発見に寄与するのが面白かった。

そして知性が失われていく過程の描写に打ち震えた。 知能の向上がSF的な要素であるのに対して、その衰えは広く万人に当てはまるものだから、物語の終盤はもはやSFの域を出ていた。

知能が失われた後も、原初的な暖かい感覚は残っていたのが泣けて仕方なかった。そしてそれを原動力にして、人間はいつでも向上心を持てるのかもしれないと、希望を与えられたような気がした。

そして文学ならではのレトリックも良かったね。訳者の技巧の高さに舌を巻いた。

星評価

★★★★★

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