- 作者: 遠藤周作
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1984/12/24
- メディア: 文庫
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患者の謎の失踪、寝たきり老人への劇薬入り点滴…大学生・難波が入院した関東女子医大附属病院では、奇怪な事件が続発した。
背後には、無邪気な微笑の裏で陰湿な悪を求める女医の黒い影があった。
めだたぬ埃のように忍び込んだ"悪魔"に憑かれ、どんな罪を犯しても痛みを覚えぬ虚ろな心を持ち、背徳的な恋愛に身を委ねる美貌の女-現代人の内面の深い闇を描く医療ミステリー。
レビュー
面白かった。割と序盤の方から夢中になれて、一気に読破してしまった。
夢中になれた理由はまず、女医の正体がぼかされている点だ。そのミステリ的な要素が読者の感心を鷲掴みにする。 そして、極度までデフォルメされた悪意。世の中には悪意を持った人間がいて、その程度の差は様々。だけど、この女医ほどの人間にはお目にかかったことはない。自分のそれなりに恵まれた人間関係に感謝せざるを得ない…。 そんな純度の高い悪意を、宗教的な悪魔になぞらえるのはまさしく遠藤周作らしさなのかな。そして対極の存在として登場する牧師の頼もしさよ…。 結局悪意は解決されることは無いのだけど、それが強烈な余韻を残す。 冒頭と終盤で牧師の口から語られる悪魔観が、より一層味わい深さを演出している。
非常に分かりやすく読みやすいストーリーが、キリスト教的世界観で下支えされた名作だった。
星評価
★★★★★
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