日々是書評

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【コールボーイ】娼年 - 石田衣良

レビュー

女性やセックスを退屈だと決めつけていた少年が、ぬるりと娼婦ならぬ娼年の仕事を始めるお話。

娼年の出会う客は変わった嗜好を持つ女性ばかりなんだけど、決してゲテモノのようには描かれない。主人公は、彼女達とあくまでフラットに向き合い、心の内を覗いていく。そうして仕事を通じて、人の心や美しさに気づいていく主人公がとても真っ直ぐで愛おしくなった。 普通ではないような人々の中から、普遍的な人間愛を学んでいくような、そんなお話だった。終盤での事件を経ても、リョウも咲良もアズマは動じることなく次の未来へと駒を進めて行く様が、まさにそれを表しているように感じた。

小説としての描写も良かった。街や人間、セックスの描写はボヤかされることなくしっかり描かれていて色や匂いが感じられるようだった。

星評価

★★★★☆

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