レビュー
個人的に女性芸人と呼ばれる人たちは好きで、なかでもバービーは特に好き。そんな彼女が書いたエッセイなのだから、読まないわけにはいかない。
まず何よりも文章のちょうど良さ。プレーンすぎず、ハード過ぎない。これこれ、自分が読みたいエッセイってこんな感じだよな〜と。
内容に関しては、それなりの幅広さを見せたと思う。自身の出自と家庭環境、芸能界とお笑い、そして女性性や性的同意について。
脱毛の話は声を出して笑ってしまった。エッセイでもきちんと笑わせてくるバービー。さすが。
エッセイだけではなく、お悩み相談への回答や料理レシピまで含まれている。装丁はピンク。しおりの紐は水色・黄色・ピンクの3種類。内容も見た目もカラフルな素敵な1冊のエッセイ。
引用・抜粋
以下、内容の要約・引用・抜粋。
1章 料理は好き。でも「男の胃袋」をつかんでたまるか
家事観や、男女の付き合い方について。バービーさんが、性差に左右されない対等なパートナーシップを望んできたことが分かる。
2章 お笑い偏差値コンプレックス
あの頃の自分に言ってあげたい。「心配しなくていいよ、大人になったらめちゃめちゃセックスするよ」(p31
3章 ノーブラで街を歩きたいと思った理由
女として生きること、特に女性としての身体を生きることについて。
4章 脱毛に失敗した切ない思い出
上京したての20歳の頃に、格安VIO脱毛を受けた話。 事前に理想の形に整えておく必要があったが、彼氏による剃毛プレイのせいで全剃りする羽目になったこと。結局脱毛会社が潰れてしまったので、「病気の犬」みたいな中途半端な状態になってしまったこと。 お気の毒だけど、とても笑えた。
5章 勝手にマリッジブルー
下品の総合商社
6章 セックスには契約書が必要か
いわゆる性的同位について。YES の確認が萎えに繋がるなら、NO の伝達を大事にしよう、というのは面白い。
意思決定をいつも人任せにしていると、いざというとき自分の意思がわからない。動けない。
NO を言うには意思が必要で、そのためには何がリスクかの情報と知識が必要。
7章 バラエティといじりの関係性
自分の価値を信じられないまま人からいじられると、とても深い傷になることがある。自分を否定してくる言葉に、自分が共感してしまうからだ。
バラエティが「引かれてる」現実について。いじりとイジメの違いについて。これからのバラエティのあるべき姿について。 バービーさんの熱い想いがこもった章。
8章 「期待されずに育った」ことへの感謝
自身の生育環境について。都市の離れた末っ子だから、良くも悪くも放置されて育った。
親はインフラであるべき、との考え方。
9章 東京に出たがったバービーが「地方創生」を願う理由
北海道で生まれ、望んで上京し、そして地元の地方創生に携わるバービー。
東京は自由である代わりに、信用の価値が低い。地方では信用で経済が回っている。
星評価
★★★★☆