レビュー
この本は「世界の見方」という池上彰さんの授業を書籍化したもの。収録されているのは、タイトルの通り、ロシアに関する授業。
受講できた生徒たちが羨ましい〜!しかもこの生徒たち、的確な答えと質問で池上センセーを唸らせる。そりゃあ、池上センセーの講座を受講するだけのことはあるよな…と納得w
1章
プーチンは何故人気なのかという導入。現代に生きる我々には興味を持ちやすく、早くも構成の良さを感じる。
2章、3章
近代以降のロシアについての解説。共産主義時代、そして東西冷戦時代のソ連について。教科書的な知識が130ページを使って解説される。これは、高校の教科書を読み返すよりもよっぽど効率が良さそう!
レーニン、スターリン、ゴルバチョフ。学校で習ったはずなのに、その偉業についてはすっかり忘れていたのでw、とても良い復習になった。
4章
北方領土を軸にした、日露の関係について。
ロシアとの領土問題について、これまで辿ってきた経緯が非常に分かりやすく解説される。プーチン大統領と安倍首相が現職である今が、問題解決の好機なのだということもよく分かった。
5章
ロシアの関わる国際紛争について。
アフガニスタンやウクライナの情勢について解説される。思いがけずロシアを飛び出して、現在も続く国際問題について理解を深めることができた。
大陸では今でも泥沼化した紛争が続いている。日本で暮らしていると実感がなく忘れがちだけど。
6章
エネルギー資源と外交政策について。これまで政治、国際と見てきて、この章で初めて経済的な内容。
自分は政治・国際よりも経済に関心があるから、この章は面白く読んだ。そうそう、経済って合理的だから、政治とはまた違った論理であっさりと動くもんだよな―と納得感。
これまでの内容で、わずか220ページ。こんなにもシンプルで分かりやすく、そして何よりも面白いロシア本が他にあるんだろうか…。
ロシアについて復習するつもりが、北極海の展望のような新しい知識を得ることができた。
近代以降のロシアと世界情勢についてについてこれ以上なく分かりやすく解説された名著だった。さすが池上センセー!
星評価
★★★★★