レビュー
大学時代に茶室に通い始めた主人公の女性。 仕事、交際、父との離別。この本の中では主人公の過ごした20年間が描かれる。
だけど、その傍にはいつでも茶道があった。 彼女は茶道から、そして茶道の先生からたくさんのことを学ぶ。 それは決して知識として伝達されるものではなく、実体験としてしか得られることはできない。
長い年月をかけて1つ1つのことを理解していく主人公の様に、胸が熱くなった。 そしてその描写がなんとも綺麗。決して難しい言い回しではなく、絶妙な言葉の組み合わせが展開される。
日本には季節の移ろいがあること。そして人生の中にも季節のようなサイクルがあること。 僕らが見逃してしまいがちなありふれた事象を、お茶の世界を通じて学んでいく主人公がとても羨ましかった。
長い年月をかけて体得していくものってとても素敵だなと思わされた。 それが五感や歴史や自然と結びついたものなら尚更。
星評価
★★★★★