日々是書評

書評初心者ですが、宜しくお願いします ^^

【ひとりが寂しいと感じたら】孤独と不安のレッスン - 鴻上尚史

レビュー

鴻上尚史さんと言えば、ネット上の人生相談の名回答者としてよく話題になる。気になる人物ではあった。そんな折りに、ブクログで見かけたレビューがキッカケとなり本書を購入。

少し事前の期待値が大きすぎたかも知れない。あるいは、自分はターゲット読者ではないのかも知れない。

孤独に思い悩み、すっかり「一人上手」の道に身をおいた自分にとっては、知っていることが多かった。とは言え、若い方や、孤独と不安に慣れていない方には有用な本なのかなとも思った。語り口はプレーンで、内容も分かりやすい。おそらく本書に救われる読者は少なくないと思われる。それでも、自分はその限りではなかった。いくつか学ぶ点はあったにせよ。

以下、各論。

まず、本のタイトルが良い。「レッスン」という言葉は、まったく威圧的ではないし「自分でも習得できそう!」というポジティブな感じがする。

良質な孤独の先に「人生で何をしたいのか」という問いを置くのが良かった。

一人旅、深く息を吸う、など具体的なソリューションが提案されているのが良かった。深呼吸って大事だけど、忘れがち。

「ひとりは寂しい」の背景について。「友だち100人できるかな」の歌による刷り込みや、「友だちできた?」と子どもに聞く親に、筆者はその原因を求める。そして神を持たず「みんな」を意識する我々日本人についても、客観的な説明を行う。

世間は中途半端に壊れた共同体であり、世間は責任を取ってくれない。最終的な責任を取るのは自分個人。

街で見かけた女子高生や帰国子女の発言など、分かりやすい人物に喋らせて自説を補強するのは手法としてちょっとチープ。マイナス点。

天才バッターと言われている人たちでも打率三割。これ知らなかった。個人的にはブログ運営などに役立てたい。

ゲイやゲイ映画に言及があるのが良い。プラス点。

自分にこだわるほど不安になるので、自分から集中を逸らす必要がある。自分について考えすぎないように、ノンキになる方法を持つべし。筆者のオススメは寿司屋に行くこと。

「今ある自分」と「ありたい自分」について。ありたい自分は今ある自分の少し上に置けばいい。そして達成するごとに、繰り上げしていく。

支え合えるような人がいない場合、まず辛い時、誰かに何かをあげる。あと、人間以外の支えてくれるものを探す。

インターネットの最大の問題点は、かんたんに慰められる点。これは非常に共感。

星評価

★★★☆☆

本日紹介した本