レビュー
先日人生で初めて、知人からADHDをカミングアウトされた。ADHDについて印象でしか理解をしていないので、良い機会だと思い本書を購入。
悪くなかったのだけど教科書っぽさが少し強い。著者の実体験や、専門家としての意見・主張はあまり期待できない。
著者が出会ったADHDの当事者が実例としていくつも登場する。ただし、あまりにボカされており、重複冗長感が否めない。個人情報という観点は理解しつつ…。
そして関連する症状が列挙されるため、情報量が多い。発達障害系の新書にありがちだけども。正直に言えば一度では把握し切れなかった。きちんと頭に定着させるためには何度か再読する必要がありそうだ。
総括としては少し物足りない。まぁそうだよな、と。知っていることが多かった。これならばググって事足りそうだと感じてしまった。
正直なところ、ADHDに関するエッセンスだけをまとめてくれた方がスッキリと読みやすかったかもしれない。多分100ページほどになってしまいそうだけど。。
それでも専門家がADHDに関して1冊の書籍にまとめ、一般販売されていることには大いに意味があると思う。とは言え比較をするわけではないけれど、他にもADHDに関する書籍は読んでみたい。
以下、各章のメモ書きと感想。
第1章 ADHDとは何か
- ADHDの概念、診断基準は変遷を
- 重ねている。今後も大きな変更がみられる可能性あり。
- 原因は不明な部分が多いが、生まれながらの生物学的な要因と関連していることは明らか。その後の養育環境では、症状を悪化させることはあれど、原因ではない。
- 神経伝達物質の機能障害であるという説が有力。
- 成人のADHDは世界人口の3%。
第2章 症状
- ADHDにおいては二次的にさまざまな精神症状が併存することはまれではない。
- ADHD患者はうつ病患者とほぼ同数。
- ADHDの特徴の一つである多動症は、成人になると弱まる傾向がある。それらはむしろ内面化して、焦りや切迫感となる
- 不注意によって、対人関係が苦手となり、能力があるにも関わらずマイナスな評価をされることがある。
- 社会人になると要求される水準がグッと上がり、つまづきやすい。
第4章 ADHDと他の精神疾患
第5章 ADHDとASD
第6章 診断
- 診断について。適切な診断が望まれるとはいえ、過剰診断も考えもの、という視点はなかった。
第7章 治療
治療とは、
- 疾患の理解
- 心理教育
- 薬物療法
- 心理社会的療法
- 認知行動療法
- コーチング
グループ療法
よく聞くコンサータとは、正式名称はメチルフェニデート除放剤。米国では6歳から投与が認可されている。朝飲むと夕方から夜まで効果が持続。飲み忘れの心配が低まる。
- 投薬期間については、半年から一年以上は継続すべきという意見が有力。ただ、ADHDの場合は本人の生活状況を見て判断するのが良い。
- また、具体的な生活場面における対処方法を身につけて習慣化していくような継続的な努力が必要。