レビュー
面白くはあった。けれどタイトルの「スマホ脳作者の特別授業」と言うだけあって、やはり内容の薄さは否めない。
スマホ脳は文句なしのベストセラーで、自分も誰かにオススメするなら本書よりもそちらかもしれない。けれど、スマホ脳は警告的な内容。
一方で本書は、脳の仕組みを知って人生をプラスに持っていこう、というようなポジティブなテイスト。(要は運動は脳に良いので、とにかく少しでいいから運動を始めよう、という内容)なので、別の本としての個性はあるのだけど、やはりスマホ脳を読んでおけばそれで十分かな?という気はする。
本書で入門しても良いし学べる点はあるけれど、やはりスマホ脳がオススメ。あと、(文字通り)行間が広いので、ページ数ほどには内容が無い、というのも書いておきたいポイント。
引用・抜粋
第1章 もっと幸せな自分になる
スマホや SNS が私たちに与えるドーパミンは膨大だが、運動の後にもらえるドーパミンの方がスマホよりもずっと量が多い。
理想的な運動とは週に3回30分、息が上がるくらい。これを5、6週間も続けていると違いがわかってくる。
第2章 イヤな自分とサヨナラする
扁桃体がストレスを感じとって警報を出す役割をしている。それに対して海馬や前頭葉が理性を取り戻してブレーキをかける。
ストレスを出すのはコルチゾールというホルモン。運動することによって運動後はコルチゾールの量が減少する。
運動が強化するのが海馬や前頭葉。
第3章 サバンナ脳を取り戻す
人類の歴史を24時間に置き換えると、濃農耕の始まりが23:40、産業革命が23:59:40、デジタル化が23:59:59。
第4章 集中力を上げる
集中とは、そのことだけを考えている状態。運動をするだけで、集中力は上がる。
脳のシステムはその時々で最も重要な情報を選び取るようにできている。
集中力が続くのは運動の数時間後。
第5章 落ち着きがないのには意味がある
人は多かれ少なかれADHD気質。その傾向が強い人は、側坐核に違いがある。側坐核はドーパミンを受け取って心地よさを感じさせるが、その感度が弱い。そのため、多くの刺激が必要。
ADHDの人にとって、普通の人よりも運動が集中力に及ぼす良い影響が大きい。
第6章 発想力豊かになる
発想力には発散的思考と収束的思考がある。前者がたくさんのアイデアを思いつくことで、後者が一つの答えを見つけること。残念ながら、運動では後者は鍛えられない。
能力を上げるための運動に関して、別に音楽やオーディオブックを聴きながらでも良い。ただし、内容に耳を澄ませる。
第7章 脳の仕組みを知る
人間の脳は三段のアイスクリームのよう。一番下から、爬虫類の脳、ネズミの脳、サルの脳が積まれてる。それぞれ、危険の処理、危険の予測、そして集団行動や感情を司る。前者2つがうるさく警告を鳴らすが、サルの脳がブレーキをかけてくれる。
第8章 ゲームが上手くなる
ゲーマーと言えども、座っている状態でも心拍数はF1レーサー並に達することも。
ゲームの上達にもまた、運動が効果ある。
第9章 スマホについて考えてみる
前頭葉が完成するのは25歳。それまでは、衝動コントロールが苦手。
脳は、かもに弱い。報酬がもらえることよりも、もらえる期待に弱い。SNSで見る内容よりも、SNSの通知のほうが中毒性がある。
スマホのいい面を利用しつつ、ドーパミンの罠にハマらないように。
運動に慣れると、運動をするときにもドーパミンが出るようになる。
第10章 記憶力を良くする
運動は記憶力も良くしてくれる。記憶の痕跡である脳細胞間のつながり、それらを強化する物質をより多く出すようにしてくれる。
また短期記憶を担う海馬に血が送られて活発化する。
ヘトヘトになるほどの運動をすると、血が脳ではなく筋肉に行ってしまうので、そこまではオススメされない。
第11章 もっと運動の話
どうしても覚えておくべき3つのこと。
1、脳の成長は止まることがない。いつでも変えられるし、成長させられる。 2、脳を助ける一番いい方法は運動 3、どんな運動をするか、ではなく運動をすること自体が大事