レビュー
タイトルの「衝撃」と言うほどの驚きはなかった。いわゆる8050問題だよなぁ、と言ったところ。
文書は良く言えば平易、悪く言えばやや退屈。作家ではなく取材班による執筆?だから、そこはしょうがないかもしれない。新聞やウェブの連載を読む感覚に近かった。
それでも、リアルさはある。取材に基づいたエピソードや会話の内容はとても記憶に残った。
無職で年金を当てにしてしまう子どもと、年金はあるが介護が必要な親。その両者が共依存的になってしまうというのは、構造的であるだけに難しい問題だと感じた。
親の介護をしてみたものの、結局は介護サービスを頼った男性のインタビューが印象に残っている。「残りの自分の人生を大事にしたい、もう今さら(親孝行したいなんて)プライドはない。」
なるほど、社会福祉協議会という団体があって、相談窓口を持っているのか。8050問題の当事者でなくとも、社協に代理で連絡することも可能。
本書の中では、豊中市の例が出てくる。豊中市は事業者が多く、就労支援も手厚い。企業の見学的な試みを行っており、その後の「長続き」も支援している。長年労働市場を離れていた人にとって、こういう試みは素晴らしいというか、必要なものに思える。