日々是書評

書評初心者ですが、宜しくお願いします ^^

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【妄信こそ貧困】下流の宴 - 林真理子

下流の宴posted with ヨメレバ林 真理子 文藝春秋 2013年01月04日頃 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle レビュー この小説では、2つの世界が交互に描かれる。 1つが「福原家」。自称、中流家庭。教育ママの由美子を中心にして、ちょっとズレたところがある人…

【心に強く訴えかけるSF短編集】母の記憶に - ケン・リュウ

母の記憶にposted with ヨメレバケン・リュウ/古沢 嘉通 早川書房 2019年05月23日 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle 総評 ケンリュウ3作目のSF短編集。大いに期待しながら読んだ。 SF短編集として扱うテーマは手広い。 時間旅行、異星の古代文化、戦争マシ…

【公正を貫くということ】下町ロケット - 池井戸潤

下町ロケットposted with ヨメレバ池井戸 潤 小学館 2013年12月21日 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle レビュー 読書家を名乗っている割りに、自分は池井戸潤を読んだことがなかった。 もちろん、池井戸潤の名前は知っていたし、ドラマ化や映画化するほど人…

【主導者なき時代の世界の行く末】「Gゼロ」後の世界 - イアン・ブレマー

「Gゼロ」後の世界posted with ヨメレバイアン・ブレマー/北沢格 日経BPM(日本経済新聞出版本部) 2012年06月 楽天ブックスAmazonKindle 総評 アメリカのパワーが相対的に弱まっていき、主導者なき時代がやってきた。筆者のイアン・ブレマーは、そのような…

【日本発ポップカルチャーの体系書】オタク経済圏創世記 - 中山淳雄

オタク経済圏創世記 GAFAの次は2.5次元コミュニティが世界の主役になる件posted with ヨメレバ中山 淳雄 日経BP 2019年11月15日 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle 総評 ブクログのタイムラインで見かけ、気になったので購入。 ポップなサブカル本かと思いき…

【人間のどうしようもなさを描く古典SF短編集】冷たい方程式 - トム・ゴドウィン

冷たい方程式posted with ヨメレバトム・ゴドウィン/伊藤典夫 早川書房 2011年11月 楽天ブックスAmazonKindle 総括 以前読んだSF小説にて、「冷たい方程式」が引用されていた。SFファンとして読まずにいられないと思い、本書を手にとって見た。 まず全体の構…

【引用・抜粋】プロフェッショナルの条件 - ピーター・F・ドラッカー

プロフェッショナルの条件posted with ヨメレバピーター・ファーディナンド・ドラッカー/上田惇生 ダイヤモンド社 2000年06月 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle 総評 働き方の関連書籍として、本書を手に取った。 ピーター・ドラッカーはもちろん知っていた…

【アジア史観を培う】犠牲者120万人 祖国を中国に奪われたチベット人が語る 侵略に気づいていない日本人 - ペマ・ギャルポ

侵略に気づいていない日本人posted with ヨメレバぺマ・ギャルポ ハート出版 2018年02月 楽天ブックスAmazonKindle 総評 チベットについて、自分は多くを知らない。「Free Tibet」という言葉を聞くに、どうやら中国から弾圧を受けていることは分かっていた。…

【緻密な陰惨描写にドハマリする】OUT(上)- 桐野夏生

Out(上)posted with ヨメレバ桐野夏生 講談社 2002年06月15日 楽天ブックスAmazonKindle レビュー 桐野夏生を読むのは「グロテスク」に続き、これで2作目。グロテスクが文句なしの傑作だったので、本作も大きな期待を持って読み始めた。 果たして、桐野夏…

【ゆっくりと流れる時間の中で、きっと人間が愛おしいと思える】細雪(上)- 谷崎潤一郎

細雪(上巻)改版posted with ヨメレバ谷崎潤一郎 新潮社 2011年03月 楽天ブックスAmazonKindle 総評 谷崎潤一郎と言えば、言わずとしれた文豪。 恥ずかしながら、28歳にして初めて読んだ。それがこの「細雪」だった。 最初こそ文章に少しだけ難解さを感じた…

【あなたの価値観を裏返す】東京貧困女子 - 中村淳彦

東京貧困女子。posted with ヨメレバ中村 淳彦 東洋経済新報社 2019年04月05日 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle 総評 テレビやネットニュースでしばしば、「若者の貧困」と言った特集が組まれる。世間の反応は往々にして厳しい。 「家賃が高すぎる」「携帯…

【ロボットSFの金字塔】われはロボット - アイザック・アシモフ

われはロボット決定版posted with ヨメレバアイザック・アシモフ/小尾芙佐 早川書房 2004年08月15日 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle 総括 人類の辿った未来をロボット工学の進化という視点から描く。形式は連作短篇集で、翻訳がごくごく自然。読みにくさ…

【人間理解を深める珠玉のSF短編集】息吹 - テッド・チャン

息吹posted with ヨメレバテッド・チャン/大森 望 早川書房 2019年12月04日 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle 総評 珠玉の短編集、という形容がこの上なく似合うSF短編集。 短編のそれぞれのジャンルは以下の通り。 商人と錬金術師の門: タイムトラベルとフ…

【レビュー】刑務所しか居場所がない人たち - 山本譲司

刑務所しか居場所がない人たちposted with ヨメレバ山本 譲司 大月書店 2018年05月17日 楽天ブックスAmazonKindle 総評 世間知らずの自分だから、刑務所の実態を知らずに生きてきてしまった。 我々の想像に反して、イベントごとを重視している刑務所もあるの…

【きっと世界がちがって見える】生き物の死にざま - 稲垣栄洋

総括 ブクログでの前評判、内表紙の「限られた命を懸命に生きる姿が胸を打つエッセイ」という一文、草思社という初めて聞く社名。全てがときめきを加速させる。名作の予感を持ちながら、ページをめくり始めた。 文章が無駄なく、それでいてみずみずしさを感…

【泣けない女vsナチュラルクズ彼氏】かわいそうだね? - 綿矢りさ

レビュー 総括 表題作の「かわいそうだね?」について。 樹理絵は交際している彼氏がいる。その彼から突然、元カノを自分の家にしばらく泊めたいと打ち明けられる。元カノは仕事が無く、家賃が払えない状況。実家には「帰りたくない」と言う。そんな彼女を助…

【加害者家族の真実】息子が人を殺しました - 阿部恭子

息子が人を殺しましたposted with ヨメレバ阿部恭子 幻冬舎 2017年11月 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle レビュー 「息子が人を殺しました」。 あまりにも強烈なタイトルだ。印象に残り、そして本書の内容を的確に表している。 加害者家族と言えば、報道陣…

【きっと明日からまた優しくなれる】ボクの彼氏はどこにいる? - 石川大我

ボクの彼氏はどこにいる?posted with ヨメレバ石川 大我 講談社 2009年03月13日 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle レビュー この本の単行本が出版されたのが2002年のこと。自分はまだ11歳だった。 「ボクの彼氏はどこにいる」 なんてシンプルで分かりやす…

【人生を狂わす嘘と勘違い】氷点(下) - 三浦綾子

氷点(下)posted with ヨメレバ三浦 綾子 KADOKAWA 2012年06月22日 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle レビュー 上巻までのあらすじ 医者の辻口啓造は妻である夏枝の不貞を疑った。夏江の不貞の間に娘が殺害されてしまったことが、やりきれなくて仕方なかっ…

【憎しみが満ちる家庭】氷点(上)- 三浦綾子

氷点(上)posted with ヨメレバ三浦 綾子 KADOKAWA 2012年06月22日 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle レビュー 崩壊することが人為的に決定づけられた家族の物語を読む、こんなに辛いことはなかった。 愛のない、むしろ憎しみが充満するお茶の間に、まるで…

【元祖ニューヨークの女?!】ティファニーで朝食を - トルーマン・カポーティ

ティファニーで朝食をposted with ヨメレバトルーマン・カポーティ/村上春樹 新潮社 2008年12月 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle レビュー ティファニーで朝食を。自分の中では「名前は知っているけど読んだことは無い本ランキング」ナンバーワン!w 「人…

【投資の必読書】敗者のゲーム - チャールズ・エリス

敗者のゲーム原著第6版posted with ヨメレバチャールズ・D.エリス/鹿毛雄二 日本経済新聞出版社 2015年01月 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle レビュー 「敗者のゲーム」とはつまり、現在の市場において個人投資家の勝ち目がほとんどない状態であるという…

【感想】池上彰の世界の見方 ロシア - 池上彰

池上彰の世界の見方 ロシアposted with ヨメレバ池上 彰 小学館 2018年11月14日 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle レビュー この本は「世界の見方」という池上彰さんの授業を書籍化したもの。収録されているのは、タイトルの通り、ロシアに関する授業。 受…

【究極の孤独と恋愛】すべて真夜中の恋人たち - 川上未映子

すべて真夜中の恋人たちposted with ヨメレバ川上 未映子 講談社 2014年10月16日 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle レビュー 川上未映子という作家の本は初めて読んだ。前から気になってはいたけど。 ページ数を贅沢に使う作風だと感じた。つまり描写過多と…

【ディストピアおとぎ話】動物農場 - ジョージ・オーウェル

動物農場〔新訳版〕posted with ヨメレバジョージ・オーウェル/山形 浩生 早川書房 2017年01月07日 楽天ブックスAmazonKindle レビュー ジョージ・オーウェルを初めて読んだのは2018年、言わずとしれた「1984年」からデビューした。ディストピア小説の代表作…

【正常は発狂】消滅世界 - 村田沙耶香

消滅世界posted with ヨメレバ村田 沙耶香 河出書房新社 2018年07月06日 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle レビュー 村田沙耶香を読むのはこれで二冊目。一冊目は言わずとしれた「コンビニ人間」 さて、消滅世界のあらすじはいたってシンプル。 「セックス…

【絶賛!中国SF】 三体 - 劉慈欣

三体posted with ヨメレバ劉 慈欣/大森 望 早川書房 2019年07月04日 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle レビュー 絶賛売出し中の三体。ようやく読めた。 まず、文化大革命のシーンから始まるのが良い。中国固有の歴史を描くことで、中国SFとしての色が濃くな…

【ワクワクを再び】人生を面白くする 本物の教養 - 出口治明

人生を面白くする本物の教養posted with ヨメレバ出口治明 幻冬舎 2015年09月 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle レビュー ライフネット生命の出口さんが教養について論じた新書。 こういう本って単なる「俺の起業ストーリー」になりがちな印象だけど、しっ…

【芸術にかける使命のバトン】美しき愚かものたちのタブロー - 原田マハ

レビュー 美術館を作りたいと夢を語った松方。 そしてその夢にほだされた田代。 だけどそのためには、フランス政府に没収されたコレクションの返還が不可欠だった。 戦後の不利な日仏関係のもとでの返還交渉、これは間違いなく熱いストーリーになる。 …と思…

【書評】東京を生きる - 雨宮まみ

東京を生きるposted with ヨメレバ雨宮まみ 大和書房 2015年04月 楽天ブックスAmazonKindle レビュー 東京の大学に進学した時。東京で一人暮らしを始めた時。東京の会社で働き始めた時。 その度に一度は胸が高鳴った。 けれど、僕らの日常というのは、油断す…